たんこぶちん活動休止。

バンドを続けていくというのは、非常にパワーがいる。なにせ、目標を次々と決めてそれをクリアしていかねばならないのだ。例えばアマチュアのバンドであれば「メジャーデビューをしてみたい」というのが目標かもしれない。たとえばそんな目標を掲げてライブ活動をしていたとしても、みんながみんなたんこぶちんのようにメジャーデビュー出来るという訳ではないのだ。それどころか、10年以上にわたってライブをし続けていたってお客さんが0人というバンドだってザラにいるような世界だ。

しかも、アマチュアのバンドであればライブに出演する際にはお金がかかってしまうものなのだ。厳密にいえばお金がかかるというよりは「一枚○○○○円のチケットを15枚売ってほしい、売れなければ自腹でチケット代を払ってください」という、ノルマと言うシステムがあったりする。チケットが売れればそれで良いが、前述した通り0人のバンドだってザラにいる世界だ。2500円のチケットを15枚、全部売れなければバンドが2500×15の37500円を負担して、ライブをさせてもらうというようなシステムだってあったりする。

しかも、バンドをやっていたらライブの時間や練習の時間をとらなければならない。そしてもちろん生きるためにアルバイトもしなければならない、さらには曲を作っている人と他のメンバーとが曲をめぐって「ここはこの方が良い」「ぜったいそんなんダサい。こっちの案の方が良い」みたいな小競り合いだって生まれてくる。それでも週に何度も顔を付き合わせてとことんクオリティを追求して行かなければならない。答えは無い。

そんな答えの無い中での議論は、非常に時間の無駄になるし、どんどんバンド仲間との思考や本気度ですれ違っていくのに、それでもやってしまうという悲しいバンドマンの性。

それはもちろん、たんこぶちんのようにメジャーデビューしているバンドも例外ではない。メジャーデビューしたって、お金は貰えないorかなり少しだが貰えるけど...という程度。それならば次はテレビで有名になりたい、もっと沢山の観客の前でライブやりたい、などなどの目標が決まってくる。メジャーデビューしてれば尚更その先が長いのがバンド活動という物です。

良い曲を作って、聴いてもらうだけという仕事であればとてつもなく楽なのですが(そして、アマチュアのバンドは本当にそういう職業だと思って目指してる方も多いのですが)、そんな事は無く、全く楽な仕事ではないのですね。昔、音楽を題材にした大ヒットマンガ「BECK」という漫画がありましたが、その中で「俺らはガソリンが切れて走れんくなった」と言っているキャラがいます。キャラの見た目や方言からブランキージェットシティをモデルにしたバンドなんだなというのがわかるキャラなのですが、そうしてガソリンが切れてから、じゃあ解散となったバンドはとても多いです。そういった意味では、たんこぶちんはラストライブの際にも「またいつか」と言っているし、活動休止と銘打っているのを鑑みるに、ファンとしては非常にラッキーなのかもしれません。待つことすら出来なくなってしまう訳ではなく、いつ帰ってきてくれるのかなと待てるだけでも楽しいものです。いつか、たんこぶちんがまたステージに戻ってくるという決心をつけてくれた時には、みんな笑顔でライブを楽しめるという最高の未来を共有できる夢があるのですから。